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2024年全英オープン覇者 ザンダー・シャウフェレ

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白熱のトーナメントを制したのは30歳の米国人、全米プロに続いて2冠達成

緊張感あふれる劇的なドラマの後に訪れたのは、格別な喜びだった。

混戦を制したのはキャリアナンバーワンともいえる最高のゴルフを披露したザンダー・シャウフェレだった。熾烈な戦いが繰り広げられたロイヤルトゥルーンを最終的に圧倒的な力で押し切り、今年のチャンピオン・ゴルファー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのである。

30歳のアメリカ人は、より難易度の高いバックナインで抜群の集中力を見せ、11番からの6ホールで4バーディを重ねあげた。後続を突き放しにかかったシャウフェレの急激なギアチェンジに、ライバルたちは追いつけなかったのである。

4日間のトータルスコアは「275」。2位タイに並んだジャスティン・ローズとビリー・ホーシェルに2打差の勝利だったが、後半インのパフォーマンスからはそれ以上に大きなギャップが感じられた。

全米プロ王者が叩きだした「65」の好スコアは、強風が吹き続けた最終日のタフなコンディションの中では誰も予想だにしなかったものである。それだけに、今選手権はほかの上位選手が負けたのではなく、王者が圧倒的な実力を見せつけて、「勝つべくして勝った」選手権と言える。

5月に全米プロゴルフ選手権を制するまで、シャウフェレはメジャーのビッグタイトルに縁がなく、長らく待ち続けた。それが、わずか3か月の間にメジャー2勝をつかみ取り、瞬く間にゴルフ界の主役へと名乗りをあげたのである。

優勝者記者会見でシャウフェレは、2016年に行われた前回のロイヤルトゥルーン大会からインスピレーションを受けたと明かしている。21年の東京五輪で金メダルを獲得した男は、ヘンリク・ステンソンとフィル・ミケルソンのドラマチックなバトルの映像を見直して、自分を奮い立たせたというのである。

この作戦は明らかに奏功した。緊張感高まる最終日のバックナイン。世界のトッププロを向こうに回して、シャウフェレのゴルフは彼らの上を行くものだった。ゴルフ的に言えば、「ゾーンに入っている」状態だったのかもしれない。結果、新王者いわく「子どものころから夢見てきたこと」を実際のものにすることができたのである。

「現実のこととは思えない。ドリーム・カム・トゥルーだ!」とシャウフェレは喜びを爆発させる。

「英国、全英オープンへの遠征はとてもスペシャルなこと。米国で育ちながら、ゴルフをするために海外へ行けるのはとても幸せさ」

「この風、雨、深いバンカー、そしてファン。何をとっても特別で、毎回楽しみにしている。そのおかげで、“これ”をつかみ取ることができたのだろう」

そういって、世界最古のメジャーの象徴、クラレットジャグに目をやったシャウフェレの笑顔は、まるで夢を追いかける子どもようだった。
第153回全英オープン

ロイヤルポートラッシュ 2025年7月13~20日

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